在職老齢年金について

実務上、問い合わせの多い、「在職老齢年金」についてご説明します。

■そもそも在職老齢年金とは?
60歳以上で老齢厚生年金を受給している人が、会社等に在職しているとき、給料に応じて年金額が減額されることがあります。この年金を「在職老齢年金」といいます。

■在職中だからといって、必ずしも年金が減額されるわけではない?
在職老齢年金の「在職」とは、「会社で厚生年金の被保険者となっていること」をいいます。
言い換えれば、次のような場合は、在職中であっても年金が減額されることはありません

@ 共済年金の加入員として働く
A 厚生年金の加入要件とならない勤務時間、勤務日数で働く
(加入要件は、1日または週の勤務時間および勤務日数がともに正社員の概ね3/4以上
であること)
B 厚生年金に加入していない会社(従業員5人未満の個人事業所など)で働く
C 個人事業主として働く(法人でないこと)
D 次項で示す、年金がカットされない程度の給料の範囲で働く

なお、在職老齢年金とならないのは、一見お得なようですが、A〜Cの場合、健康保険は「国民健康保険」となる場合があったり被扶養配偶者が60歳未満の場合は、別途国民年金保険料負担が発生するなどの不利な条件も。逆に、在職老齢年金であった期間は将来年金額に反映されるので、長い目で見れば、一概に損得は決められない!?

在職老齢年金のしくみ
在職老齢年金のしくみは、60歳台前半と後半に分けられます。

■在職老齢年金のしくみ
●60歳台前半

支給される額
基本月額+総報酬月額相当額
28万円
基本月額(カットされない)
基本月額
≦28万円
総報酬月額相当額
46万円
基本月額−(総報酬月額相当額+基本月額−28万円)×1/2
総報酬月額相当額
46万円
基本月額−(46万円+基本月額−28万円)×1/2
+(総報酬月額相当額−46万円)
基本月額
>28万円
総報酬月額相当額
46万円
基本月額−総報酬月額相当額×1/2
総報酬月額相当額
46万円
基本月額−46万円×1/2+(総報酬月額相当額−46万円)

※基本月額(年金額÷12)は、加給年金を含まない
※総報酬月額相当額=その月の標準報酬月額+(その月以前1年間の標準賞与額の総額)/12
※28万円(支給停止調整開始額)と46万円(支給停止調整変更額)は、原則として毎年度見直し。
なお、支給停止調整変更額が平成29年4月から47万円→46万円に変更されました。

 要するに、1か月あたりの年金額(報酬比例分と定額部分のトータル)と、総報酬月額相当額(標準報酬月額に、過去1年のボーナスを概ね12等分した額)の合計が、28万円以下だったら年金はカットされない、ということです。

●60歳台後半

 
支給される額
基本月額+総報酬月額相当額
46万円
基本月額(カットされない)
基本月額+総報酬月額相当額
46万円
基本月額−(総報酬月額相当額+基本月額−46万円)×1/2

※47万円(支給停止調整額)は、毎年度見直し。平成29年4月から47万円→46万円に変更されました。
※調整されるのは、老齢厚生年金だけ。老齢基礎年金および経過的加算額は全額支給されます

要するに、1か月あたりの年金額(老齢厚生年金)と、総報酬月額相当額(標準報酬月額に、過去1年のボーナスを概ね12等分した額)の合計が、46万円以下だったら年金はカットされない、ということです
60歳台前半との大きな違いは、定額部分に相当する老齢基礎年金はここでは考慮しないということと、支給停止の基準となる額が28万→46万となるので、現役並みに給料が高くなければ、まず影響することは少ないでしょう。

●70歳以降は?
平成19年3月までは、給料の額に関係なく、年金は全額受給されていました。しかし、制度改正に伴い、平成19年4月からは、60歳台後半と同様のしくみで支給停止が行われています。なお、昭和12年4月1日以前に生まれた人については従前のままです。