社会保険未加入対策について(対策が強化されます!)

■社会保険や労働保険未加入に対する罰則は?
社会保険や労働保険に本来加入しなければならない事業主が、その手続きを怠っていた場合、何らかのペナルティはあるのでしょうか?
法律上の罰則は次のようになっています。
・六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金(健康保険法208条、厚生年金保険法102条)
・六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金(雇用保険法83条)
法律上は、適用事業所が被保険者の資格取得手続きを怠っていた場合にこの罰則となっていますが、加入する=被保険者の届出をするということなので、実質的に同じことと考えていいでしょう。
しかし、現実にはこれらの罰則が適用されたという話はほとんど聞いたことがありません。
現状では、労働保険に関しては国が、社会保険に関しては日本年金機構が、それぞれ外部委託により、電話や訪問による加入勧奨を行っています。

■労働保険未加入のときに労災事故が発生したら?
社会保険に加入すると、保険料が発生します。社員の数が増える程、結構な額になります。実質、罰則が課されないなら・・・・加入勧奨もあくまでお願いという感じだし・・・・と、放っておいたらどうなるのでしょうか?
例えば、未加入時に労災事故が発生したらどうなるのでしょう?、その社員は給付を受けることができないのか? 結論から言えば、給付を受けることができます。事業主が手続きを怠っていただけで、労災保険は、法律上、適用されているからです。まして、被災した労働者が不利益を被ることはあってはならないのです。
そのかわり、「費用徴収」という制度により、事業主にペナルティが発生するという仕組みがあります。具体的には以下の通りです。

つまり、本来なら保険でまかなえたものが、「あとでかかった分の一部(または全部)、徴収しますね」ということです。さらに、本来支払うはずだった保険料も、遅延利息付で、過去2年分はしっかり徴収されます。
雇用保険や社会保険料には、この費用徴収制度はありませんが、雇用保険料について保険料を遡及して支払うケースはありますし、何より、健康保険や年金のの給付など、社員が本来受給できるはずのものが、事業主の怠慢等により受給できないなんてことになったら・・・・・訴えられますよね。

■業種によってはすでに対策が強化されています
建設業においては、すでに公共事業の入札参加に必要となる「経営事項審査」の中で、社会保険未加入は大幅に減点するということで、実質的なペナルティを課しています。また、国土交通省は、平成26年8月1日以降に入札手続きを行う国の直轄工事においては、社会保険等未加入建設事業者への指導監督を強化するとともに、元請業者と一次下請け業者は原則、社会保険等に加入業者に限定することとしました。(国土交通省直轄工事における社会保険等未加入対策に関する通知について 平成26年5月16日)
さらに、運送業においては、社会保険等未加入事業者は行政処分(車両停止処分および事業者名の公表)などを行っています。 (どうも国土交通省管轄でがんばってくれているようですが・・・・)

■今後の展開
現状、一部の業種以外は、まだまだ社会保険料未加入対策は厳しくないようですが、「2015年春にも、国税庁の徴収データを使い、未加入の会社を割り出し指導を強化する」といった報道もあり、今後は、ますます対策は強化されていくと思われます。少なくとも、まじめに加入して保険料を払っている会社がある一方で、「加入逃れ」がまかり通るのは許されない、ということです。